ヘッドフォン

AKG Q460を買う

出張に行った時は、移動中ほとんどiPhone 6+で音楽を聴いている。

音楽鑑賞するというよりは雑音を防ぐことが目的であって、しょせんはiPhoneなんだから音にこだわってもしょうがないだろうと、これまではApple純正ではなくて少しは音が良さそうだけど、高音質を謳うような高額製品でもないイヤホンを使っていた。

イヤホンの音が物足りないのは常日頃から感じているけど、かと言って出張にでかいヘッドホンを持って歩く選択肢は自分にはなかった。

しかしあまりに音が悪いので、持ち歩けるくらいのサイズと重さで音も良く、かつ音漏れしないヘッドホンを買おうと決心し、東京での仕事のついでに新宿のビックカメラに立ち寄ってみた。

すると、まさに探しているようなサイズと重さのAKG Q460なるヘッドホンを見つけた。

問題は音なのだが、試聴用のサンプルが置いてあったので自分のiPhone 6+で鳴らしてみると思い描いていたような音が出る。

これが作られた音であって音源の素直な音ではないとわかっていても抗えないような魅力的な音なのだ。多分にiPhoneやiPodなどを前提に音作りされていると思うのだが、iPhoneやiPodなどの特徴というか、MP3の特徴というか、イヤホンの特徴というか、とにかくあのシャリシャリした部分が全くない、角のまろやかな音質だ。

特徴を言えば、まず低音は相当に強調されている。イヤホンでは低音はほとんどなくなってしまうので、これは今回ヘッドホンを買う上での必須条件だ。少し音量を上げるとズドンと響くくらいだが、やはりまろ味はあって嫌ではない。

中高音も低音ほどではないけれどやはり強調されているのだが、iPhoneやiPodをイヤホンで聴いた時のような高音がキンキンする感じは一切感じられない。

ビッグバンドを聞くと全体のバランスが良く、ジャズでは各楽器がくっきりするし、ボーカルは深みと太さが出る感じになる。

このように個人的な好みにバッチリ合う音作りなのだが、少し気になるところもある。それは中高音に煌びやかさが付加されているようなのだが、それが金管のハイノートやディストーションがかかったゆがんだエレキギターの音に影響して、深みがない音になってしまうのだ。目くじら立てるほどではないし、長く使えばエージングの影響も出るかも知れないし、なにより音質を追求したヘッドホンを求めているわけでもない。

ちなにに音漏れは相当に大音量にしない限り全くないと言える。またイヤホンでは少しでも大きな音で鳴らすと鼓膜が疲れた状態になるが、このヘッドホンではかなり音量を上げても疲れない。

装着感については、頭の形状などにもよると思うが、個人的にはきつくないし、イヤーパッドもフカフカで長時間装着しても気にならない。

これは買いだなぁと思って値段を見ると、税抜きで5,000円弱となっている。見た目は、1万円くらいで売られているAKG K451とそっくりなのに、何で安いのだろう?と思ったら、どうやらQ460はK451のクインシージョーンズのシグネチャーモデルで、順番から言うとK451がQ460の後継機の位置づけらしい。早い話が、Q460はちょっと古い製品だから在庫処分されているのだ。

というわけで、Q460を買って出張中ずっと音楽を聴き続けたが、音楽を聴く喜びを再確認させられた。よく考えてみたら、初代ウォークマンもオンイヤーのヘッドホンだったのだ。イヤホンで音楽聴くなんて本来ありえないことだったのに、いつからそれが普通になってしまったのか思わず考え込んでしまった。