VAIOについてちょっと思う

SONYがVAIOを手放してしばらく経った。新たなVAIOのホームページに行くと、ちゃんと製品が販売されていて何となく落ち着く。
私は、特にSONYファンでもVAIOファンでもないが、国産メーカに復活してもらいたいのでSONYもVAIOも応援している。何なら、VAIOを一台買っても良いと思う。
しかし現在のラインアップを見る限り、VAIOファンでもない私が買うほどの魅力はない。
端的に言えば普通のWindowsパソコンでしかない。同価格帯ならMacBook Airを買ってしまうだろう。
もちろんVAIOの現在のターゲットがVAIOファンであるということもあり得る。これまでVAIOを愛したファンを大切にするために、VAIOを出し続けるという考えは間違いではない。
しかし、それでは国産メーカの復活とはほど遠い結果になるだろう。
で、私は私なりにこんなVAIOが出れば買うのにな、というアイデアを持っている。
それは、DSD音源の録音と編集に特化したパソコンだ。その昔、VAIOシリーズの一部に搭載されていたSound RealityチップとDSD Directソフトウェアを復活させ、かつDSDの録音と編集を薄いノートブックで実現させて欲しい。しかもMacのGaragebandに当る簡単な編集ソフトを無料でバンドルするのだ。それで100万円になってしまうなら問題だが、20万や30万ならすぐにでも買うだろう(その値段が可能かどうか知らないが)。
そこで、そういう需要が少なくとも一人分ありますよ、ということをVAIOに教えてあげようと思ってホームページも探したところ「アイデア等のご提案について」という項目があった。
が、驚いたことに「...原則として皆さまからのご提案をお受けすることはご遠慮させていただいております。…万一皆さまよりご提案をいただきました場合でも、原則として、内容についての検討及び評価をすることなく、すべてご返却申し上げることとしております。 」と書いてあるではないか。
その理由が馬鹿げたことに「VAIO(株)が独自で考え出した未発表のアイデアと、皆さまのご提案が偶然にも大変類似してしまう、という可能性がございます。また、そのことにより皆さまとの間に誤解や紛争が生ずる可能性もございます。」だと言う。
せっかくSONYを離れて自由に革新的な製品を出せそうな雰囲気になったのに、この大企業病はどういうことなのだろうか。訴訟になるのが面倒だからと言ってられる場合ではないだろう。
こんなことでは、VAIOの復活は遠き夢に終わると断言できる。
同じページに「万一VAIO(株)が、お送りいただいたご提案の全部又は一部と、同一または類似する案を採用した場合でも、VAIO(株)はご提案の提供者に対して、代償等の支払いを含め、いかなる責任を負わないものとします。」と書いてあるのだから、「どしどしアイデアをお送りください」というのが正しい方向のはずだ。
DSD云々が今後のVAIOにメリットがあるアイデアかどうかは分からないが、少なくとも以前のVAIOシリーズで実現していた機能で、かつ未だに他のパソコンでできない特徴のはずだ。そういうアイデアや需要がどこにあるかを探ろうとしなくて、起死回生の製品など生み出せるわけがない。
国産メーカの将来は、まだまだ暗いなと認識させられた次第だ。
他にもアイデアはあるので、どんどん教えてあげようと思ったが、その気持ちはもう萎えてしまった。私に取ってVAIOは、もうどうでもよいWindowsパソコンでしかない。今後、私がVAIOについて特別な思いを馳せることはないだろうな。