MacFanがZinioで...

数日前にZinioについて触れたが、日本語の雑誌としてfllick!に続いて、MacFanも発売になった。

ひょっとしたらZinioが、日本の電子書籍ストアの定番になる前触れかな、と思ったが、
MacFanの値段設定を見て、やっぱり駄目なのかな、と思い直した。

ZinioでのMacFanの値段は、1冊が600円ということらしい。これは、紙版のMacFanの730円から18%オフということだが、まだちょっと高いと思う。

もちろん、出版社や編集部だって、色々と計算して価格設定をしているわけで、600円になった立派な理由があるだろうことは、分かっている。

私が電子版が紙版より相当に安いべきだと思うもっとも大きな理由は、MacFanのような情報誌は、発売から時間が経てば内容が古くなり、その価値が下がっていく、つまり基本的には読み捨てだと言う事実にある。

読み捨ての媒体は、資源としての紙を消費する紙版より、不要になったらいつでも消去できる電子版のが相性が良い。小難しいことを言わなくても、紙がもったいないと言えば、誰でも、ある程度は納得してもらえるだろう。

また情報誌は、歴史的な価値とか、資料としての価値が将来は出てくるが、その際も電子版で検索可能にしておいた方がいいはずなのだ。

だから、この際、紙版はゆくゆくはやめて電子版に移行します、くらいの意気込みがあってもいいのではないか、と思うのだ。

さらに言えば、MacFanのようなITの世界を舞台にした雑誌は、新しいメディアに果敢にチャレンジする姿勢を打ち出し、業界全体の電子化の先陣を切り、その普及を目指すべきだと思うのだ。その点、電子版の価格設定からは、「電子版も格好いいので出してみたけど、失敗したらすぐに撤退します」という消極的な雰囲気を感じずにはいられない。

仮に1冊を600円で売るしかないなら、せめて1年購読や2年購読すれば半額とか、年間購読の料金設定を用意して欲しかった。「年間購読がないのは、失敗したら来月には撤退するための布石か」と勘ぐりたくなる。何でも海外の真似をすればいいとも思わないが、MacWorldのデジタル購読(12冊)で76%オフを見習って欲しい。

ビューンについても同じようなことを書いた気がするが、日本では、電子書籍に対して業界全体が、どこか及び腰で、エイヤッとやるところが全然出てきそうにないのが残念だ。音楽業界におけるAppleのiTunesみたいに、しがらみのない外部から救世主(あるいは破壊者)が登場するのを待つしかないのだろうか。